初めにお断りしておきます。筆者は軍国主義を礼賛する気もなければ、ましてや軍国日本の復活などとんでもないと考えていることを。
この点をご了承いただいたことを前提に、筆を進めます。
「海軍五省(かいぐんごせい)」というものがありました。広島県の江田島という小島にあった海軍兵学校において、生徒が毎夜その日の行いを自省するための標語です。(江田島の海軍兵学校は、現在は海上自衛隊幹部候補生学校になっています。)
以下の五項目です。
一、至誠(しせい)に悖(もと)るなかりしか (誠意に欠けることはなかったか)
一、言行に恥づるなかりしか (恥ずかしい言動はなかったか)
一、気力に缺(か)くるなかりしか (気力に欠けることはなかったか)
一、努力に憾(うら)みなかりしか (心残りのないほどに努力したか)
一、不精(ぶしょう)に亘(わた)るなかりしか (怠けてものぐさになりはしなかったか)
いかがですか? 良いものは良い、と認めていいと思うのですが。
あの武田信玄の「風林火山」の旗印よりは、よほど平和な時代に差し障りのないものではないかと考えるのですが…。(だって、「風林火山」というのは孫子の兵法、つまり戦争の技術であり、「火」にいたっては「侵掠(しんりゃく)すること火の如く」の略ですからネ。)
因みに、「海軍五省」は単に「五省」の名称で、現在も海上自衛隊幹部候補生学校で用いられているそうです。
また、アメリカのメリーランド州アナポリスにある海軍兵学校では、この英訳文が掲示されたことがあったそうです。
※今回の臨時配信の日にちについては、戦前にあった「海軍記念日」の5月27日以外に思い当たりませんでした。
海軍記念日:日露戦争の日本海海戦での日本の勝利を記念して定められた日でした。
※ついでに、「陸軍記念日」は3月10日。こちらは同じく日露戦争の奉天会戦の勝利を記念して定められたものです。1945(昭和20)年3月10日のアメリカによる東京への大空襲は、わざわざこの「陸軍記念日」を選んでのことだと言われます。
〔出典〕